今年通算20周年目を迎える、恵比寿の東京都写真美術館(新愛称はTOP MUSEUM)。リニューアルのため2014年9月より閉館しており、2016年9月に再開となった。
このリニューアル後初回の展示を飾るのは杉本博司「ロスト・ヒューマン」と、「世界報道写真展2016」。
オープンから一週間経った9月11日に「ロスト・ヒューマン」を鑑賞。週末だったこともあり館内は盛況で、皆興味深く作品を見つめていた。
会場は2フロアを利用し、3階では「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」、2階は(「劇場」シリーズより発展した)「廃墟劇場」、「仏の海」と3部に分かれた構成となっている。
展示冒頭の言葉で、そして作品で杉本博司は人類と文明の「最悪の未来」について語る。
様々な者になりきって、彼らから想像された「最後」を描く作品。
未来のためにアーティストが見せるものに対して、観客であり同時代を生きる私たちは何を考えて応えれば良いのか。そう問われるような展示内容だった。
そして2階の「廃墟劇場」「仏の海」シリーズでは、写真の美しさ自体にも目を奪われた。
廃墟劇場は、廃墟となった劇場に作家がスクリーンを持ち込み、映画を投影した光のみで撮影されている。膨大であろう実験の時間と、技術から生まれたものに圧倒される。
劇場に白く残る光が、重なり合った物語と人のいた時間を写す。
アーティストとしての正しい姿勢を見せてもらったような展示だった。
おすすめの展覧会です。
・杉本博司「ロストヒューマン」 公式サイト
会期:2016年9月3日〜2016年11月3日
・世界報道写真展2016 公式サイト
会期:9月3日〜10月23日
会場:東京都写真美術館
住所:〒153-0062
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL: 03-3280-0099
休館日:毎週月曜日(9月19日開館、翌20日閉館。10月10日開館、翌11日閉館)
開館時間:10:00~18:00(木・金は20:00/但し9月9日・10日は21:00)※入館は閉館の30分前まで
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