1月7日、高田馬場にあるオルタナティブスペース「Alt_Medium」での篠田優個展「写真へのメモランダム」を見に行きました。Alt_Mediumは昨年オープンした私が期待を胸に通っているスペースであり、篠田優さんはAlt_Mediumの代表でもあります。
以前の展示記事はこちら:
高田馬場に新たなオルタナティブスペース「Alt_Medium」誕生。オープニング展示は山口和也「Eternal trace」
「Alt_Medium」オープン第二弾展示は嶋田篤人個展「思わぬ壺」
ちょうど作家在廊日に行くことができたので色々とお話を聞かせていただきましたが、今回の展示は写真と言葉が飾られていることが特徴です。
オフィシャルサイトの展示紹介、また篠田さんの言葉によると、彼は普段から写真を撮り現像するプロセスの中で浮かぶ思考を言葉に残しているとのこと。
写真と共に展示された「メモランダム」。それは撮影する対象のことであったり写真についての思考であったりします。

私の内にあらわれるイメージは何かの姿をもった像(figure)であるように思う。 ときにその像は直接的に現実の存在を参照しないだろう。私は夢の中で誰とも呼べない人、何処とも呼べない場所に出会う。しかし、私が生まれながらにして心中に原像ともいうべきものを持って いないとすれば、ある像を自らの内に形成するためには、形ある他者の存在を見るという経験が必 要ではないだろうか。それはどこか潜像という現象を思い起こさせる。ある存在からの反射光に晒されることによって、顕在的でなくとも私の内に像が残される。そしてそれが自らの外にある世界への反応により不意に、現像されることを想像してみる。「写真へのメモランダム」より
(出典:Alt_Mediumウェブサイト)
写真の技術が素晴らしく、単体や書籍としても成り立つ描写、表現力もあるけれどその中で生まれた言葉も非常に興味深く、まるで写真を媒介に思考し続けている哲学者のよう。本展示はその思考のアーカイブを見せてくれます。
これらの写真と言葉をつくることを「ただ普段おこなっていること」と話す篠田さん。はじめてこの言葉達を展示空間に飾ったと話してくれましたが、篠田さんのことを知ると、いや知らなくても、言葉がいかに作品と影響し合い芯を形成しているかがわかります。
Mediumという名を冠した場を作り、Mediumという写真集をつくった篠田さんのことを考えるとき、自然と「Medium=媒介」という言葉が浮かぶけれど今回それがやっと腑に落ちて、とても完成された展示だと感じました。
良い空間ですが更に欲を言ってしまえば篠田さんの思考をもっと知りたくて、もっと質量やまとまった文章を見たい気持ちにもなりました。
おすすめの展示です。Alt_Mediumの展示は真摯で質が高くやはり今後も通おうと思いました。営業日が残り少ないですが是非行ってみてください。
篠田優 写真展「写真へのメモランダム」
会期:2017年1月5日(木)~1月15日(日)
OPEN:木曜~日曜日 / 12:00~20:00 ※最終日~17:00まで
※最終日~17:00まで
【お問い合わせ】
Alt_Medium
〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3-102
TEL:03-5996-8350
E-mail:inquiry@altmedium.jp
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