旅する写真家の描く肖像画。喜多村みか写真展「meta」高田馬場Alt_Mediumで2/12まで




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高田馬場にあるオルタナティブスペース「Alt_Medium」へ、喜多村みか個展「meta」を見に行ってきました。展示会期は1月19日(木)~2月12日(日)まで。1月21日のレセプションに行くことが出来たので今回も作家の喜多村さんと少しお話をさせていただきつつ、ゆっくりと作品を見てきました。

喜多村みかは、スナップショットを中心に作品を制作・発表をしている写真家です。本展覧会は、初の写真集『Einmal ist Keinmal(アインマルイストカインマル)』(2013)の出版時以来、約3年ぶりとなる個展になります。これまで喜多村は「写真に写るもの、写らないもの」に視点を置いて作品制作を続けて来ました。それは、”触知できない何か”と本人が言うように、これまで多くの写真家達が追い続けて来た大きなテーマのひとつでもあります。本展では喜多村にとって初めてのポートレイト作品となる、新作の「meta」シリーズを展示致します。

これまでと変わらずスナップショットという手法を貫きつつも、一定の距離感や構図、そしてやや統一された人物の表情など、作家の定めたルールに則って撮られた作品群は「ポートレイト」と呼ぶにはどこか居心地が悪く、その写真を見つめるとき、その視線が人物だけに留まることを拒み、内から外へと視点が誘われます。

撮影者や被写体の思いと、不変に存在する光の像の世界との両者の間を漂う時、今いちど写真を観る歓びに立ち返らせてくれるように思います。

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喜多村みかは商業写真も撮る写真家だが、この展示は彼女の撮りためたフィルム写真で構成されている。約3年ぶりという展示には、日本中、そして世界で撮影されたポートレイトが並ぶ。

その写真の人物たちは作者と少し距離がある。しかし距離があるからこそ見えてくる、被写体の「その人らしさ」を写すためにこれ以上なく計算されたような構図と背景。そして素のような表情でこちらを見る作品の人物が、切り取られた異国のような世界を見せてくれる。

見ていると今や自分が曖昧になってくるような、一枚の絵として完成された肖像画のようだと感じた。
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喜多村さんには旅が似合う。写真からは、海を超えた国で流れている音楽のような、異国への憧憬や懐かしさのようなものを感じる。聞くと、ある旅雑誌でもフィルムで撮影をされていたようだ。(ぜひ見てみたい!)

100年後、ここに写っている人たちはもういない。もちろん、私もいない。
触知できない何かを感じられることが、写真の、とくに人が写っている写真の力でもあると思っている。写っているはずのない、入り交じった思いや、そこにあったかもしれない物語(あるいはそんなものはない)、残したいというノスタルジックな願い。これらを探してしまうとき、私はなんとも言えない気持ちに襲われて、なにか霊的な力すら感じることがある。そういった、写真の映画的な部分が私は好きだけれど、本当はそうしたものは写っていないとも思っているし、ましてやそのことを証明したいとはこれまであまり考えてこなかった。
蚤の市で目にするような100年前の誰かのポートレイト写真が魅力的であるいちばんの理由は(これまで重々語られている通り)被写体がすでにこの世にいないことだ。だとしたら、私が撮った写真も半ば自動的にその魅力を帯びていくのだろうか。そこに写っているものを超えて、ロラン・バルトの言葉を借りるならば「手に負えないもの」(ロラン・バルト『明るい部屋写真についての覚書』花輪光訳,みすず書房)たちが熟していくこともあるだろうか。つまりこれは、私やここに写っている人たちがこの世からいなくなったとき、誰かに見つめられ、そのとき何を感じさせることが出来るのかを問う、わたしの密かな実験でもある。確かめる術こそないけれど。
–ステートメントより 出典:Alt_Mediumオフィシャルサイト

作品を見れば、展覧会のステートメントに記された言葉がひしひしとわかる。

100年後に思いを馳せることのできる、芸術の持つノスタルジックな側面。良い意味で現在らしさも、その土地らしさも感じない作品を見ていると鑑賞側は自分や所在を見失う。それは喜多村みかの導く旅であり、芸術が持ちえる魅力だろうと思う。


喜多村みか 写真展「meta」

会期:2017年1月19日(木)~2月12日(日)
OPEN:木曜~日曜日 / 12:00~20:00 ※最終日~17:00まで

※最終日~17:00まで

会場:Alt_Medium ウェブサイト

〒161-0033 東京都新宿区下落合2-6-3-102(下落合二丁目歩道橋そば)

営業時間:12:00〜20:00

会場:Alt_Medium

住所:〒161-0033

Alt_Medium SNS:Twitter Facebook

作家在廊日などはTwitterで情報発信中。




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