資生堂ギャラリーで2016年12月25日まで開催中の展示「「Les Parfums Japonais ―香りの意匠、100年の歩み―」を見てきました。本展は日仏のおよそ100年にも渡る歴史ある香水瓶約50点の展示を軸として、その時代性、歩みを語ります。
展示は主に年代ごとのまとまりで進行します。冒頭を飾るのは1910年代のフランスの香水瓶。アールヌーヴォー(新しい芸術)と呼ばれた時代のパリでの芸術文化の一端を示していたものです。ガラス工芸家ルネラリックによるデザインの香水瓶など、資生堂初代社長・福原信三が憧れを抱いた商品から始まります。
福原信三が当初心に描いた「商品の芸術化」は時代の流れと共にその見せ方が変わって行き、戦争で物資を使えない時代においては、ミニマルな外観で商品名も直接ガラスに彫ったのみというものもあります。しかしそのシンプルながらも品性を保つ美しさは、細部までこだわりを持ったからこそ生まれたといえるでしょう。
戦後から現代にかけては、時代と共に香水やそれを取り巻く様相も変化していきます。
「日本らしさ」を海外に伝えるシリーズや「銀座の雑踏」をコンセプトにした香りなど、暮らしの中の芸術から世界が広がっていく様子は、デザインだけでなくその動きも見ていてとても興味深いです。
各時代、その変化の中で変わりゆくデザインはもちろんありますが、その根底にあった芸術への憧れや生活の中の空気感を変えたいという福原信三の願いは生き続けていく。
本展では展示の見せ方にも独自のこだわりがあり、空間デザインや什器にも手仕事や自然の美しさを感じることができます。通常のガラスケースでは無く雨粒をモチーフにしたという半球型のドームに佇む香水瓶が語るものを、是非観察してみてほしいです。
Les Parfums Japonais ―香りの意匠、100年の歩み―」
主催:株式会社資生堂
会期:11月2日(水)~12月25日(日)
会場:資生堂ギャラリー
〒104-0061東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
休館日:毎週月曜休(月曜日が祝日にあたる場合も休館)
入場料:入場無料
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